STUDIO4℃といえば『MEMORIES』や『SPRIGGAN』等ジャパニメーションの先駆者ともいえる個性的なクリエイター集団。しかし、本作品は、キャラクターや背景に独特の手触りを感じさせる暖かなテイスト。派手な戦闘シーンなどがあるアクションものではないが、アニメ界の精鋭がこの作品に全精神を注ぎ込み、3年以上の歳月をかけるなど、STUDIO4℃ならではのこだわりの表現技術が凝縮されている。

 フルデジタルアニメーションによる見事なカメラワークと、繊細な人物描写が織り成すドラマの中に片渕監督、田中プロデューサーの前任地スタジオ・ジブリの香りが感じとれる。また、「今回はデジタル作品であることを極力意識させないよう、手作りのぬくもりを表現することにこだわった。」と、デジタル技術では初めて可能になった絵画のような微妙な色遣いを積極的に取り入れている。


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