以前、掲示板でご質問いただいたまま返事しないままになっていたことがある。お尋ねの内容は、 「なぜ『アリーテ姫』では歩くスピードが遅いのか」 というものだった。アニメーションを素材にした心理学の研究をされておられる日大文理学部の横田先生のお話をうかがって、そのあたりの説明のヒントぐらい示せそうな気がようやくして来た。
アニメーションの「歩き」の作画には色々あるが、例えば、 ・「軽快な動き←→鈍重な動き」 ということでその特徴で表すことが出来る。それから、 ・「自然な動き←→不自然な動き」 という尺度もある、という。 横田先生の研究成果の中では、「軽快で自然な動き」のとき、見る人はそこに「ファンタジック」なイメージを抱き、「鈍重で自然な動き」を感じるとき同時に「写実性」を見る、というのである。『アリーテ姫』で必要とされているものを考えると、あとは簡単だろう。
心理学のアプローチでは、こういうことを「刺激」に対する被験者の反応から統計的に導き出していくのだという。そして、映画の作り手たちは、自分自身の抱く印象を溜め込んだり観客の反応を積み重ねたりして、同じことを感覚的に悟ってゆくのである。ということであるらしい。どうやら。 |