「このように脱稿前日まで新事実、新情報を追加され、そのたびに月産機数の算出に苦闘する片渕氏に大いに迷惑をおかけすることになったが、氏の大健闘により、「零戦」の前期生産分についてはかなり確実に、末期生産型については新事実を交えて中間発表的にその生産状況をほぼ明らかにすることが出来たと思う」 ……というのは、最近出た某出版物の中の言葉。 高々度からこんにちは、ということで今日も飛行機の話。 苦闘だったかどうかはどうでもよいのだが、零戦の生産数の推移については、実は『アリーテ』が始まる頃にはすでに形になっていた。まだ準備班だった頃、制作の笠井君に見せたりしていた記憶がある。その当時「ここがわからない」というところが明確になっていたと言うだけでも、かなりのところは出来ていたと言うことだろう。それがひょんなことからもっと進んだ形をとることになり、出版物の端に間借りするように載ってしまった。 土曜日に「エース」にお目にかかった帰りの新幹線の中で、前々から「こういうのがあるんですが」と言われていた数字の羅列を見せられる。 「……」 まずいじゃないか。 もう一回いちから計算やり直しを迫られる新データ−の出現である。しかも、解釈に困るのである。 などと言っても誰もわかってくれるまい。わかってもらえなくて結構。数字の先に個々の機体が見えるのだ、と言ったところで、機体ごときにも誰も興味を持っていないのはわかっている。でありつつ、この「苦闘」はこのように永久に続くのかもしれない。ただ、最近さすがに数字いじりにも飽きて来ている。おかげで仕事に没入出来そうなのがこの際喜ばしい。
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