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[久しぶりに制作当時の回想/その他](2001年09月29日(土))
99年の1月、新宿小田急美術館で『女性画家が描く日本の女性たち展』というのが催されている。その当時新聞でそれを知って、色彩の林さんといっしょに見に出かけている。
日本画は、輪郭線で事物を描く、という意味でアニメーション・ドローイングの祖先なのである。『アリーテ』ではカゲを塗り分けるのも基本的にはやめようというプランだったが、それは何かに譲歩して妥協したからではなく、そういう表現がじゅうぶん可能だと踏んだからである。ノーマル/カゲの二色以上の色で表現していた質感をベタの一色で表すための参考というか、それを実際に塗る林さんの意識改革という意味でも、この展覧会へ行った成果はあった。
大正から昭和戦前期の女流日本画家4人の作品が並ぶのを眺めるうちに、林さんと一致するものが多くなる。今、手許に残った印刷物で池田蕉園画伯の「かへり路」を見ると、アリーテの衣服、被りものなどの色合いの原形がすべてそこにあるのが見て取れる。
× × × ×
それはさておき、掲示板の方にも速報風に書き込んだように、4℃の社内でもグッズを作り、上映館であるバウスシアターに並べてもらっている。
便箋や絵葉書は、実は1枚1枚カラーコピーで刷っている。というと値打ちが下がるようだが、実は下がらない。あんなに分厚いモコモコした葉書の用紙をコピー機に突っ込んでプリントするのもえらい手間なのである。紙が分厚くてすぐ引っかかってしまうし、カラーコピーは4回スキャンして4重に重ねてプリントするので1枚刷るのにもたいへんな時間がかかる。これを広報の桜井さんが仕事の合間にするのである。だいたいにおいて桜井さんの本業は経理なのだ。お金の計算だけでもたいへんなのに、その上広報まで背負い、挙句にグッズ製造業者をされている。アリーテ柄の手提げバックも、桜井さんが布からミシンで縫ったものなのである。
アリーテ人形は、舞台挨拶に登場したものも含めて、全部作監補の浦谷さんの手縫いである。実は、浦谷さんは今現在自分で監督して短編アニメーションを制作中で、その原画も全部ひとりで描いている。その合間にユザワヤに材料を買出しに行き、帰宅してからアリーテの形に縫い上げるのだから、本人はバテバテである。
そうして作った品物が上映初日で完売してしまった。ありがたいことである。ありがたさをかみ締めつつ、彼女たちはまたグッズ作りに精を出す。上映はあと13日間……。いったいどうなるのだろう……。
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