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[コンテ](2001年12月07日(金))
しかし『薔薇の名前』でいただけなかったのは、コンティニュイティがぞんざいなことだ。同ポジの切りかえし切りかえしだとか、無理に断片を集めて編集で組み立てたようなインサートカットが多すぎる。それぞれのカットがエスタブリッシュメントされていないのだ。撮影場所の関係で余程早撮りが要求されたのかも知れない。
映画は単なるカットの集合体ではないはずなのだ。それぞれのカットがそのカットであるというだけで強烈な「見世物」になっていなければ目を凝らす甲斐がない。その上でカットの組み立てそのものが映画の本質である「驚き」の要素に満ちていることが、映像に緊張を生む。
などということを考えながら『ちびまる子』のコンテも切って来た。やっていた頃の『まる子』は、シナリオを原作者のさくらさんがやっていたので内容そのものをどういじるかという悩みがこちら側には全くなく、「演出」に集中出来た。最初に芝山さんが作り上げた組み立てのルールが、立体的な切りかえしはなし、エスタブリッシュメントされたマスターショットをアップで拾う、という方法論だったので、それはそれで(煙に巻くような話だが)黒澤明のマルチカムってこういうことなのか知らん、と思ったりしてしまう瞬間もあって、それなりに工夫を凝らしていたつもりだったのである。
偉そうな話だが、まあ、『アリーテ姫』の割と長回しの各カットもそれなりの考えがあってやってはいたのである。
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