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[4日目つづき](2001年12月21日(金))
上映終了後、スクリーンの前に机を出して、コロンバ氏と色々喋る。観客からの質問もあるが、どうもこの夜は気が回らなくなっていたようで、ぞんざいな答えになってしまって申し訳ない。
質問の中で印象的だったのは、「大塚康生さんが御自作を紹介されたとき、『日本のアニメーションはヨーロッパを題材にすることが多いが、ヨーロッパから持って来たものに日本流の味付けをして完成させる』と聞きました。でも『アリーテ姫』の世界はまさしくフランスそのものだと思うのですが?」というもの。
ほかにもこの映画の舞台は「フランス」という声はかなり耳にした。「魔法使いの国には日本が反映されているのですか?」とも。
「時代考証の資料収集はいったいどうやって行ったのか?」
実はたいしたことはしていないので恥ずかしい。
それからコロンバさんたちと近所の寿司屋に出かける。コロンバ組のスタッフの方たちも参加する。やはり陽気な海賊の手下たちみたいな感じで、親分とのマッチングが良い。
「パリへ来てなんか面白いもの見たか?」
と、コロンバ親分。
「今日はノンマルトルの教会とか見て」
「駄目だなあ。裸の姉ちゃんが胸をボンボンやって踊ってるとこ見なくちゃ、パリへ着たとは言えねえ」
やっぱり素敵な人だ。どうも上映後のトークでもこの調子でジョークを飛ばしまくっていたみたいで、話の中身を僕に伝えようとする通訳たちが混乱していたのも無理はない。
せっかく日本から持ってきたアリーテの背景画を見せる。
「小さいな」
「うん、思ったよりずっと小さく描いてある」
などとフランスの絵描きたちは顔を寄せ集めている。ただの陽気な海賊たちではない。
「質問だが、塔から見下ろした街から地平線までPANするあのカットはどのくらいの大きさに描いたんだ?」
「マルチプレーンは使ったのか?」
我々の使う技術は万国共通語である。
「アヌシーにも出すのか?」
「出来れば」
「その時には必ずパリへ寄ってくれ。奥さんも連れて俺んちへ必ず来るんだぜ」
と、名刺をもらう。
もうおいとまの時間。
「Monsieur Colombat! See you next time!」
と、去り際に声を投げる。混み合った室内の奥の方から、あのカッコ良いダミ声が返って来る。
「See you soon!」
「おお、Soon!!」
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