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[『アリーテ姫』今昔物語(7) ](2002年01月21日(月))
『大砲の街』は、たしかにカメラが人物とともに狭い廊下を移動してゆくようなコンテになっていた。これをクリアするために、大友さんと作画監督の小原秀一さんは、実際に模型の廊下を作ってカメラの立体移動を表現してみようとか、ビデオ編集機で絵に変形を加えて立体的に見せようとか、色々に試行錯誤をされていた。結局、これはマッキントッシュのパソコンを使ってやってみようというところに落ち着く。それまでは普通にセルアニメーションを作っていた4℃にはじめてデジタルが導入されたのである。
もうひとつの方、大友さんが試みようとしていた15分1カット(実際には20分に増えた)の長回しというのは、実は自分の頭ではそれほど無理なことではない。小さいブロックに分けて撮影し、あとでオプチカル合成機を使って組み立てればいいのである。計算は成り立つ。ただ、そのバラし方組立て方は自分にしかわからない。人に伝えようにも、聞いている人間が「???」となってしまうだけなのだ。だから足抜けは許されず、そろそろスタッフを編成しようかというところまで来ていた『アリーテ』は開店休業となる。
もっとも『アリーテ』をこねくり回すのでなければ、ほかの仕事をこなす時間も充分にあった。そこで、日本アニメーションへ行った佐藤好春さんたちの仕事の絵コンテを手伝うことにする。示された新シリーズのキャラクターはなかなか感じ良い。旧知の森川聡子さんが、そこでキャラクターデザイナーとしてデビューしていたのである。
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