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[ 『アリーテ姫』今昔物語(15)](2002年02月09日(土))
この時期、つまり97年の暮から98年の頭にかけて書いたシナリオの書きかけやメモ書きが、それ以前のものまで混ざって大量に残っている。今読み返すと面白い。
アリーテには年端が行かない弟がいるし、宝さがしの騎士の3人目も登場しているし、しかもこいつアリーテと相身たがう年恰好の少年で、なかなかに中心的役割なのだ。自分ではなりたくもない姫の婿となるために、がちがちの父親に脅され、後見されて、あげくにその父の指示の過ちで「本」などを持ち帰ってしまった少年は、再び宝を探す旅に出る……。
アリーテの父王の後継ぎたるべき弟王子を亡くした王国の軍勢は、宰相インドミタブル卿(あの大臣のかしらはそんな名前なのだ。式部卿や大蔵卿もいる)を先頭に、今やアリーテたちの国となった旧ボックスの城領へ侵攻して来る。姫君を奪還して王国の世継ぎに据えるため、そしてアリーテが難題を解いて得た三つの宝を手に入れるためだ。その先導をするのは、先立ってボックスの城にやって来ては魔法使いに撃退されていたダラボア以下の騎士2名である。迎え撃つアリーテ側には、あの魔女いる。いまや3枚目になりきって、かってグロベルだったカエルを頭に乗せて物陰に隠れるボックスも。
そしてアリーテは第二の難題によって手に入れた銀色馬にまたがっている。馬よろいがそのまま息づいているような、その銀色の金属の肌……。
お話をとりとめもなく繰り広げるのは楽しく、また容易い。13本くらいのテレビシリーズを構成できるくらいの材料があったのではないか。
だが、今至上命題として与えられているのは、低予算で60分に収まる内容のものとすることなのである。派手な見世物を一切断ち落としたとき残るもののことを考えなくてはならないのだ。それはどのような映画の形をとり得るのだろう。
そしてこの当時、脚本を書いている当人はまだボックスの正体の発見に至ってはいないのである。
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