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[『ハイジ』](2002年11月13日(水))
 6歳になった娘が『ハイジ』をいたく気に入り、一週間意に一本借りて来るレンタルビデオで見ている。
 横でほかのことをしていた父親も思わず画面から目が離せなくなってしまう。今日はフランクフルトの高い塔に登って山がみえなかったところまで。ビデオに入っていた5本が終わると、きゅうっと胸が締め付けられるような気がして来る。
 見終わって名残惜しむ娘とともに、福音館の矢川澄子訳版『ハイジ』を開く。パウル・ハイの挿絵を一枚ずつ指差して、これがおじいさん、これがペーターのおばあさん、それからこれが今日見た塔の番人、とひとつひとつ確かめてゆく。まだ見ぬ物語の終わりまで、挿絵で先読みする。
 終章、山を下ってゆくクララを見送るハイジとペーターの絵。楽しかった山の暮らしも彼女にはもうおしまい。あらゆる物語は、やがて終わりが来るものだけに切ない。通り過ぎる季節もまたそう。成長を重ねるハイジたちの姿にすら、それは潜んでいる。


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